ディープラーニング・マイニングPCの増設ファンの選定
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昨日、マイニングおよびディープラーニング用のLinux自作PCでZabbixを用いた温度と負荷の調査を行いました。
その結果、1,2月と比べて明らかに3月のCPUとGPU温度が上昇しており、これからの気温上昇を考慮すると冷却効率の向上の必要がありそうという結論に達しました。
本記事では、現在の環境に増設するファン(ケースファン、CPUファン)の調査と比較を行い、何を新たに追加するか決定します。
対象の環境
以下の記事で作成したLinux自作PCが今回の対象です。
簡単にまとめると、以下の構成になっています。
- CPU: i3 7100
- GPU: EVGA GTX1070 FTW2 iCX
- MB: MSI H270 PC Mate
- Mem: CFD Crucial W4U2400CM-8G DDR4-2400 8GBx2
- Case: Fractal Design Define C
- HDD: WD Red WD20EFRX
- Power: Corsair CMPSU650HXJP
現在のエアフロー
現在の構築のエアフローは下記のようになっています。
Defice Cに付属するケースファンは12cmの前面・背面ファンが1つずつで、CPUのリテールクーラー、あとはGPUの2つのファンでエアフローが形成されています。
この構成で問題となるのは次の2点でしょう。
- CPUクーラーがサイドフローでないので、エアフローの流れが乱れている可能性がある
- 前面ファンが非力でGPUを十分に冷却できていない
冷却効率改善案
このマシンで発生する熱は基本的にGPUからのものがほとんどかと思われます。
そのため、冷却効率を改善するのであればGPUの水冷が一番効果的なのでしょう。
簡易水冷キットの存在により水冷の敷居は低くなっているのでしょうが、それでも液漏れのダメージの大きさを考えると二の足を踏んでしまいます。
ここでは空冷を前提に冷却効率を上昇させることにします。
先の問題を解決する改善案は単純で、以下の2つとなるでしょう。
- CPUクーラーをサイドフロー型にしてエアフローを整える
- 前面ファンを増設してGPUの冷却効率を上げる
その結果、次の図に示すようなエアフローとなればよさそうです。
この前面ファンとCPUクーラーの追加に適切なパーツを選定していきます。
取り付け可能なファン
現在のケースはFractal DesignのDefine Cです。このケースには次のファンが設置可能です。
- Fractal Design Dynamic X2 GP12が2基付属
- 前面: 14cm2基 or 12cm3基
- 12cm1基(X2 GP12)が標準装備
- 12cm1基、14cm1基の構成もたぶん可能
- 上面: 12 or 14cm 2基
- 背面: 12cm1基
- 12cm1基(X2 GP12)が標準装備
- 底面: 12cm1基
- HDDケージの取り外しが必要
- CPUクーラー: 170mmまで
ケースファンは前面に現在の12cm1基構成から、12cmもしくは14cmを1基増設というのが無難でしょう。
CPUクーラーはそれなりの大きさのものも設置可能のようです。
ケースファンの選定
長時間運用ということを考慮して、MTBFが長いものをチョイスすることにします。
ベアリングに関しても2ボール、流体軸受け以上のものがよさそうです。
ベアリング性能は軽く調べた限りでは流体軸受け・特殊>2ボール>1ボール>スリーブとなっていそうです。
現在のマザボのMSI H270 PC MATEは4pinのCPUファンが1つ、4pinのシステムファンが4つ接続可能です。4pinならPWM対応とみてよさそうです。
以下に12cm、14cmのファンを標準装備のFractal Design Dynamic X2 GP12と比較しつついくつかピックアップしてみました。
12cmファン
標準のX2 GP12、EnermaxのUCTB12、GelidのSilent12を以下に比較します。
PWM | 軸受 | 回転数[rpm] | ノイズ[dBA] | 風量[CFM] | 静圧[mmH2O] | MTBF[時間] | 消費電力[W] | ブレード取外し | 価格[円] | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Dynamic X2 GP12 | × | LLS(流体) | 1200 | 19.4 | 52.3 | 0.88 | 100,000 | 1.32 | × | 1942 |
ENERMAX UCTB12 | × | ツイスターベアリング | 900 | 11 | 42.11 | 0.828 | 100,000 | 1.8 | ○ | 1268 |
GELID Silent12 | ○ | 流体 | 750-1500 | 12-25.5 | 58 | 1.6 | 50,000 | 2.16 | ○ | 1158 |
価格はAmazonで調査しました。また、UCTB12のPWM対応版UCTB12Pを比較したかったのですが、現在取り扱っている店が皆無だったので代わりにUCTB12を記載しています。
Enermaxのツイスターベアリングというのは、特殊な構造でオイルが不要となっており、長期使用で利点がありそうです。
14cmファン
標準のX2 GP12の14cm版であるX2 GP14、EnermaxのUCTB14P、GelidのSilent14を比較します。
PWM | 軸受 | 回転数[rpm] | ノイズ[dBA] | 風量[CFM] | 静圧[mmH2O] | MTBF[時間] | 消費電力[W] | ブレード取外し | 価格[円] | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Dynamic X2 GP14 | × | LLS(流体) | 1000 | 18.9 | 68.4 | 0.71 | 100,000 | 1.32 | × | 2245 |
ENERMAX UCTB14P | ○ | ツイスターベアリング | 600-1200 | 9- | 39.48-69.4 | 0.691-1.131 | 100,000 | 3.6 | ○ | 1752 |
GELID Silent14 | ○ | 流体 | 750-1200 | 12-2515 | 74.5 | 1.6 | 50,000 | ? | ○ | 1661 |
基本的にスペックは12cmのものが大型化によって低回転・低ノイズになったと思っておけばよさそうな感じです。
選定
スペックを見る限りでは、低ノイズかつ冷却効率の良い14cmファンでよさそうです。12cmのもとの価格差も許容できる範囲ですし。
今回はMTBFが標準ファンやその14cm版と同等で、PWM制御可能、風量や静圧も上回っているENERMAX UCTB14Pを選ぶことにしました。
X2 GP14と比べた利点はPWM対応と上位スペック以外にも、ブレード取外しが可能で掃除がしやすい点も考慮しました。
CPUクーラー
CPUクーラーはド定番となる虎徹MarkIIを選択することにします。
現在のメインPCでは虎徹MarkIとほぼ同等の性能らしいCryorig M9iを使用しており不満点はないのですが、同じものを買うよりは比較用に虎徹を買ってみたいと考えました。
また、常時稼働することもあって、M9iの9cmファンよりは虎徹の12cmファンの方が騒音が少ないと考えたこともあります。
以下にM9iと虎徹MarkIIの簡易スペックをまとめます。
高さ[mm] | 回転数[rpm] | ノイズ[dBA] | 風量[CFM] | 静圧[mmH2O] | MTBF[時間] | 価格[円] | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Cryorig M9i | 124.6 | 600-2200 | 26.4 | 48.4 | 3.1 | ? | 3475 |
Scythe 虎徹MarkII | 154 | 300-1200 | 4-24.9 | 16.6-51.17 | 0.0762-10.5 | 120,000 | 3623 |
まとめ
本記事では、Linux自作PCの冷却効率を改善するために、前面ファンとCPUクーラーの選定を行いました。
船体したのは次の2点です。
- ケースファン: ENERMAX T.B.Silence PWM UCTB14P
- CPUクーラー: Scythe 虎徹MarkII SCKTT-2000
到着次第設置を行い、どれほど冷却効率が改善されるか比較したいと思います。